『主動筋』と『拮抗筋』について

私たちの身体は、関節を曲げたり伸ばしたりすることができます。
日常生活では特に意識することもない筋肉の動きですが、一つひとつの動作には、
必ず複数の筋肉が関係して関節の動きを成立させています。
メインの動作をする『主動筋』と、その反対の動作をする『拮抗筋』について、筋肉を2つの視点で捉えてみたいと思います。
主動筋、拮抗筋とは
ある動きについて、直接的に動作を起こす筋を主動筋(あるいは主動作筋)と呼びます。
主動筋の動作とは反対の動きをする筋肉を拮抗筋と呼びます。
一方、拮抗筋は、動きを緩めたり、止めたりする作用を持っていて、靭帯や軟骨と協働して関節の過剰な曲げ伸ばしを防ぐ作用を持っています。
拮抗筋は、主動筋の反対側に位置していることが多いですね。
肘を曲げ伸ばしする動き
力こぶの上腕二頭筋が「主動筋」としてギュッと縮んで、肘関節を曲げることができます。
肘関節が完全に曲がるまでに、二の腕と呼ばれる上腕三頭筋が「拮抗筋」として、徐々に肘の曲がるスピードを緩め、動きを止めるように働きます。
どこまでも曲がってしまって、前腕と上腕がくっついてしまうことはありません。
一方、曲がった肘関節を伸ばす動きは、これと反対のことが起こります。
今度は二の腕の上腕三頭筋が主動筋となり、肘の関節を伸ばしていきます。
そして、力こぶの上腕二頭筋が拮抗筋の役割となり徐々に肘関節の伸びるスピードを緩め、動きを止めるように働きます。
肘が180度以上曲がってしまうことは通常はありません。
膝を曲げ伸ばしする動き
膝関節が曲がっている状態から、膝関節を伸ばすとき、主動筋として大腿四頭筋(太ももの前部の大きい筋肉)がギュッと縮んでいきます。
この時、拮抗筋としてはハムストリングス(太ももの後部の大きい筋肉)が作用して膝関節の過剰な伸展を防いでいます。
伸びた膝を曲げるときはこれと反対の動きや役割となります。
相反神経支配
主動筋が動く際に、邪魔をしないように反対の作用をする拮抗筋が自動的に緩むことで、動作がスムーズに行えるようになっています。
これは相反神経支配と呼ばれる神経系の仕組みによるもので無意識下でバランスが保たれています。
主動筋と拮抗筋のストレッチ
主動筋と拮抗筋、どちらの筋力が低下しても動作のバランスが崩れ、運動機能の低下につながります。
相反神経支配の働きを高める方法として、主動筋と拮抗筋を合わせて伸ばす「ダイナミックストレッチ」という方法があります。
ストレッチと言われると、「静的」ストレッチと呼ばれるじーっとして筋肉を伸ばすイメージがあると思います。
ダイナミックストレッチは、特に主動筋に意識して動かし、拮抗筋に「動的」なストレッチをかける形になります。
屈伸や伸脚などの準備体操や、ラジオ体操もダイナミックストレッチの一種であると言われています。
運動習慣があまりない方、在宅ワークやデスクワークで身体が硬くなっている方など、
主動筋、拮抗筋をスムーズに動くようにして元気に活動したいという方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
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